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TITLE : 英国ロイヤル・バレエ団 「ロミオとジュリエット(Romeo & Juliet)」#1

吉田都さんの英国ロイヤル・バレエ団引退公演でもある「ロミオとジュリエット」を観て来ました。


(吉田都さんについて書き始めるとエンドレスになってしまうので、今回は「ロミオとジュリエット」の舞台に絞って書きたいと思います。)


大好きなダンサーの引退公演の演目が大好きな「ロミオとジュリエット」で、しかも大好きな英国ロイヤル・バレエ団と共に上演される、と言う奇跡のような組み合わせ!


チューニングの段階から、心の中がザワザワと騒ぎ立てていたのは言うまでもありません。


幕が上がると、そこはヴェローナの街。
この頃のロミオはまだロザラインに恋をしており、冷たくあしらわれても夢見がちに彼女を追いまわしています。


今回ロミオ役を踊ったのは、スティーヴン・マックレイ。
先日、ロンドンでの都さんの引退公演(「シンデレラ」)でもパートナーを務められた方です。


ロミオとマキューシオ、ベンヴォーリオがつるんでいると、そこにティボルト率いるキャピュレット家の人達が現われます。
すぐに些細な小競り合いはモンタギュー家とキャピュレット家の争いへと発展。
キャピュレット公とモンタギュー公までもが剣をぶつけ合います。

そこにヴェローナ大公エスカラスが現われ、一旦両者の諍いは強引に中断され、互いに剣を捨てて握手をするように求められます。
憎憎しげにそれに従う男性達。
このシーンで好きなのは、モンタギュー夫人とキャピュレット夫人が醸し出す「静かな中にも火花がバチバチと飛び交う」激しい対抗意識です。


その後、物々しい場面は一変し、13歳の少女ジュリエットが登場します。
乳母をからかい、彼女に抱きつき、人形と戯れるその姿はまさにまだ幼い少女そのもの。
都さんのジュリエットは、目がキラキラと悪戯に輝き、弾むように軽やかで、少しお転婆な印象さえ感じました。

その一方で、母親であるキャピュレット夫人が自分の部屋に来ることが分かると慌てて身なりを正して丁寧にお出迎えする分別の持ち主でもあります。
自分が取るべき態度、自分に求められていることが分からないほど子供でもなければ、急に現われた求婚者パリスの存在をすぐに受け入れられるほど大人でもない、と言うまさに過渡期にいる少女の心の動きがヒシヒシと伝わってきました。


まだ、ロミオと言う愛に出会っていないジュリエットがパリスに投げかける視線は、恥ずかしげではあるものの、優しさを含んでいます。
この時点では、ジュリエットにとってパリスは少なくとも負の存在ではなかっただろうし、そのままロミオと出会わなければその愛を受け入れたのかもしれません。

でも、彼女は恋と言うものを知ってしまい、そして世界がロミオでいっぱいになってしまった。
突然自分へ敵意とも見える態度を見せるようになったジュリエットの様子に、パリスは訳が分からず困惑したのではないかと思います。


キャピュレット家の舞踏会は、キャピュレット公、キャピュレット夫人、ティボルト、パリス、ロザラインを中心に堂々たる厳かな踊りで始まります。(このシーン、その迫力に毎回ゾクゾクするので大好きです!)
ロミオは相変わらず何とかロザラインの気を惹こうと必死ですが、まともに相手にはされていません。


そこに登場するジュリエットとパリス。
パリスに脇を支えられながらジュリエットがグランジュッテをする様子は、本当にふわりと宙に浮いているようで、夢のように美しかった!
ロザラインを追いかけていたはずのロミオは、ジュリエットの存在に気付き、一瞬にして眼も心も彼女に奪われてしまいます。


シェイクスピアはこのシーンでロミオに


ROMEO: "Did my heart love till now? For swear it, sight! For I ne'er saw true beauty till this night. (今まで心で恋をしたことがあっただろうか?眼よ、ないと誓え。今宵私は初めて真の美を目にしているのだから。)"

と言う台詞を与えていますが、マクミラン版のこのシーンではロミオはまさにこの言葉を体現しているように思います。


お互いから目が離せなくなってしまう2人。
彼らは舞台の上手と下手に大きく離れ、その間には最初と同じように堂々と踊るキャピュレット家の騎士達、ジュリエットの後ろにはパリスがいます。
それでも、2人以外の人達には一切のライトがあたっていないかのように、見つめ合うロミオとジュリエットの姿だけが舞台上に浮き出て見えます。


恋をすべきではない相手(家の仇)であることを互いに知った後も、2人はもう気持ちを抑えることなど出来なくなってしまいます。


ロミオのことを思い出しながらうっとりとバルコニーに姿を現すジュリエット。
そこに、黒いマントを翻したロミオが登場します。

マクミラン版の「ロミオとジュリエット」では、作品全体を通してどこをとってもシェイクスピアの言葉が溢れ出しているように感じますが、バルコニーのシーンでもやはり、元々の台詞がとても大切に表現されていると思います。

スティーヴンと都さんのパートナーシップは息を呑むほど音楽的で、高速のピルエットやリフトがぴったりの呼吸で決まっていく様は、爽快と呼べるほどでした。
心地よく張り詰めた緊張感、そして早足で疾走するかのようなスピード感。
恋を知った喜びや相手への溢れる想いを抑えられない2人の気持ちが痛いほどに伝わってきました。


ROMEO: "O, wilt thou leave me so unsatisfied?(満たされぬままの私を置いていかれるのですか?)"

JULIET: "What satisfaction canst thou have tonight? (今宵、一体何をお望みだと仰るの?)"

ROMEO: "The exchange of thy love's faithful vow for mine. (あなたから私への誠実な愛の誓いを)"

JULIET: "I gave thee mine before thou didst request it. And yet I would it were to give again. (それなら求められる前にあなたに差し上げましたわ!でも、もう一度あげられたら良いのに)"

ROMEO: "Wouldst thou withdraw it? for what purpose, love? (取り消すおつもりですか?愛しい人、それは一体何のためなのです?)"

JULIET: "But to be frank, and give it thee again. And yet I wish but for the thing I have. My bounty is as boundless as the sea, my love as deep; the more I give to thee, the more I have, for both are infinite. (気前良く、もう一度あなたに差し上げるためですわ!私の持っているもの全てをあなたに捧げたい。私の想いは海のように無限で、私の愛は海のように深いのです。あなたに差し上げれば差し上げるほど、増えていく・・・どちらも限りがないのです)"

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