PLUGGED WEB MAGAZINE PLUGGED WEB MAGAZINE


TITLE : 青春ってやつは。

うるさいと集中できないという人が多い中、アタシはなぜだか周りがうるさい方が集中できる。
ただし、うるさい原因は音楽ではなく、人の話し声でなければならない。音楽がかかっていると、それがたとえインストュルメンタルの曲でも、一緒に鼻歌を歌ってしまうから。

だから、仕事中に行き詰ると、ザワザワしたカフェ等に出掛け、そこでパソコンと資料を広げる。

アタシの特徴1:人の話し声がするところの方が集中できる。

たいていの場合、周りの雑音が聞こえなくなるほどの集中力が発揮でき、気が付けば、お仕事完了。でも、うまく集中できないと、他人の会話に侵入を試みてしまう。

スライド1.jpg

その日も、原稿書きに行き詰まり、近所のカフェに足を運び、パソコンに向かっていた。しかし、ふと気が緩んだ瞬間、隣のテーブルの会話が聞こえてきてしまった。ティーンと思われるカップルだ。

「彼女、まだ、あなたのこと、忘れられないって」。

そう言ったティーンの女の子は、男の子の手をぎゅっと握る。
あれ? このシチュエーション、何だかおかしくない?

黙りこくった男の子に、女の子は甘えた声で続ける。

「ねえ。私、どうしたらいい? あなたとよりを戻したいっていう相談を彼女から受けているの。」

男の子、沈黙。
女の子、一層甘ったるさを増した声で、「よりなんて、もう戻せないのにね。」

ゲホホホ。アタシ、コーヒーをむせる。

今風にかわいくいえば、彼女は小悪魔。
友達の彼を、友達の知らないところで横恋慕。しかも、その友達の恋愛相談にのっているようだった。

アタシの席から見えるのは、彼氏の顔だけで、横並びに座った彼女の顔を見ることは――特にタイミング良く、コーヒーをむせった後だけに振り返るのは――難しい。

幸いなコトに――幸いなのは、女友達とアタシの友情が堅かったからなのか、単にオトコの趣味が違っただけなのか――友達の彼を横取りしたことも、逆に横取りされたことも、アタシには経験がない。

 友達から彼を奪っておいて、相談にのっている。そんな小悪魔ちゃんは、一体どんな容姿なのか?
見たい。彼女の顔が見たい。

アタシから見える彼女は、彼氏の手に重ねた手だけ。白くてふっくらした手からは、彼女が痩せ型でないことくらいしか想像がつかない。

「私ね、勉強がんばる。恋も勉強もがんばって、皆に認められたいの」。


出たっ!青春。

"オバサン"に片足突っ込んだアタシは何だか赤面しちゃうけど。こんなセリフは、ティーンならではの特権。

「ね、一緒にがんばろうよ。皆に素敵なカップルって認められよう!」


「...俺、無理...かな...」。

 重い口をやっと開いたかと思えば、彼の口から出たのは、草食系を臭わすセリフ。
 それとも彼の方は、捨てた元彼女のことに罪悪感を感じているのか?

 聞きたい。彼の真意を。

 気が付けば、アタシは作業をしていたファイルの上に新規ファイルを立ち上げ、隣のテーブルで交わされる会話の一部始終をメモしていた。

「彼女に本当のコト、言うべきかなぁ?」

 彼氏、無言で机にうつぶせる。

 ダメだ。彼女の顔が見てみたい!
欲望に負けたアタシは彼女の方を見た。

「そろそろ行こっか」。

タイミング良く、いや、タイミング悪く、彼女は立ち上がり、顔を見ることができなかった。

 消えそうなくらいに低いテンションの彼とは対照的に、彼女の後ろ姿からは、抑えきれない幸せで溢れていた。
 
あっ!ちょっと、待って!
続きはどうなるの?
こんなにおもしろい話、今後の展開がとっても気になるのだけど。

...心の中で叫んでみても、アタシ達は所詮、ただの通りすがり。

必死にメモした青春版愛憎ストーリーは、連載の途中で打ち切りされた形で終わった。




PLUGGED WEB MAGAZINE

PLUGGED WEB MAGAZINE最新号

TITLE: うっとういしい梅雨におさらば
毎日、うっとうしい梅雨の時期がやってきました。 …
June 05, 2010. | ナチュラル・ライフ

TITLE: MCBプロジェクト、現状ご報告。
ママキャリアバランス(MCB)推進プロジェクトの代…
April 08, 2010. | ママ・キャリア・バランス(MCB)推進プロジェクト

TITLE: ★エッセイ★MARUのプライマリーケア日記★Vol.3★
現在もじんましんは治療中。 皮膚科に通って、抗ヒス…
January 31, 2010. | 女性のためのプライマリー・ケア

PLUGGED WEB MAGAZINE