よくある、二十代の、将来のキャリアに繋がるための留学は夢がある。
三十代位までなら、ワーキングホリデーという優遇措置も受けられるだろう。
だが、アラフォーはもう、味方になるような法律も措置も何もないのだ。世間が、アラフォーにもなって自分探しをしている人間のためにできていないのである。
だが、したくて自分探しをしているわけじゃない。
不況下、嫌でも新しい仕事を探さなければならなくなった人もいるし(私)、一生かけてやりたい仕事だったのになくなったりと、今の世の中、四十から新しい二度目の人生を歩む必要がある人もいる。
これは長寿になり、そして不況がもたらした、新しい社会問題なのである。
この年で何の目的もなく、英語を身につければ仕事にありつけるかも、なんて理由で留学しても、先例を見てそんな甘いものではないことは、十分承知している。
私もない知恵を振り絞って、自分なりに考えた。様々な職業への転職も考えた。だが現実として転職は難しかった。
アラフォーにもなれば、多少はいざという時に備えて、コガネを貯め込んでいるものだ。
というわけで、私は今の自分に使ってしまうことにした。もちろん、スパやエステで癒されようとか、そういう意味ではなく、せめて資格を得たり、スキルアップしたりすれば、「次の仕事」にありつけるかもという、とても可哀想なお金の使い方である。
20年近く働いて来て、今まで頑張って働いてきたご褒美よ、この休みは(無職ということはおいておいて)海外旅行や素敵なレストランに行って使おう、なんて言ってるような余裕はないのだ。
働く独り者のアラフォーは、自分の寝床を確保するために、そして自分を食べさせるために、必死なのである。
<地獄への片道切符>
現在の状況を正確に言うと、無職無給ではあるが、無職ではない。
会社から無職無給になることを言い渡されたが、私がいる状況は完全な無職よりもっと悪い。
会社は今、少しでも社員のクビを切りたい。
でも、すぐに解雇するとカドが立つ。
だから会社はどうすれば、社員に給料を払わなくていいか考えた。そこで。
会社が考えた、悪法というのは以下のもの。
「暫く解雇じゃなくて休むっていう形にしてあげる。でもね。海外に留学してお金を使って勉強してきて、スキルアップできたら、戻ってきた時にもう一度、同じポジションと同じ給料をあげてもいいかもね♪ その時の会社の状況がよくなってたらだけど。それが嫌なら辞めれば?」
というものなのである!
つまり、今の私の状況は、お金をたっぷり使わされて、戻れる保証のない会社のために、海外まで来させられて勉強しなければならないというものなのだ。ああ。
選択は二つ。
1.留学しないで会社を辞める。
2.留学して、戻れるか分からないけれど、会社員で居続けることを選ぶ。
アラフォーになって何の資格もスキルもない人間が、明日からすぐに無職になれるだろうか。
もちろん私は。
辞める勇気なんてありませんでしたよ......。
そこで、無理やり。
老後の蓄えを使わされて、興味のなかった海外くんだりまで来なければならない羽目になったのである。
しかも会社員であるので、海外に来てもウェイトレスのバイトをして生活費を稼ぐこともできない。
アラフォーにもなって、苦手な英語に慣れない海外生活......。ああ。




