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TITLE : アラフォー、行き当たりばったり アラフォー6

さて。
 急に留学しなければならない羽目になったものの、とりたててやりたいことがあるわけじゃない。
 前もって自分の人生設計を立てて、準備を重ねて、なんて用意周到な計画とも無縁だ。
 とにかくばたばたで留学を決めたものの、自分の進路と覚悟は決まった。
 どうせやらなければならないのなら、せめて少しでも「次の仕事」に結びつくような留学をしよう。
 語学留学だけなんて、この年齢、記憶力の錆びついたアラフォーが挑むには、壁が厚すぎる。
 自分で稼いだコガネを使わなければならないアラフォーは、語学だけではなく、一挙両得になりそうな何かを得られないか、ない知恵を振り絞ってさもしいことを考えた。
 何せ今回の留学の目的は「次の仕事」にありつくことなのだから。
 そこで、私はありがちだが、自分の好きなことを仕事にできないか考えた。
 好きなことが仕事にできる人は稀だ。そして、好きなことをしていれば、仕事に対する苦しみも軽減されそうだ。
 そこで今さらながらに自分探しをする羽目になり、何が好きなことかを考えてみるとそれは。
「食べること」
 だった。
 いや。
 彼氏もいないアラフォーは。
 ......食べることしか人生に楽しみがなかった.........。
 自分の人生を少しはかなんだものの、それなら、「食」をメインにした仕事に転職できないかと考えた。
 今流行りの料理研究家、自宅でお料理教室、海外帰り、本場仕込みのお料理を教えられる○先生。
 あら、これはなんて素敵な響き。
 自宅が79000円のワンルームということは置いておいて(しかも郊外)、夢は広がる。
 海外帰りの料理研究家として、帰国後に活躍の道が開けるかも...! と夢を見るだけならタダだ。
 実際、料理研究家の友人は「山ほどいるからそういう人」と冷静に憐れむように私を見つめた。
 日本では私は料理教室に通っていて、料理をする素地はある。
 なぜ料理教室に通っているかというと、料理教室と言うのは、料理を作った後、生徒同士それらを試食する時間がある。
 ......週に一回でも誰かと食卓を囲む時間が欲しかった......。
 一人で夕食を作り、自宅で壁を見ながら毎晩、一人で食事をする生活を、変えてみたかったのだ......。
 ごほん。
 それはさておき。
 料理留学というのも面白いかもしれない。
 英語が苦手でも、料理というのはできそうな気がする。
 語学学校で黒板を見ながら椅子に座って勉強するより、料理なんて、英語ができなくてもつくれりゃいい。
 それどころか、英語も料理も上達して、おまけに残った材料を持って帰らせてもらったりすれば食費も浮く。
 少しでも留学費用を抑えたいアラフォーには一石二鳥、三鳥ともいえる留学ではないか......!
 会社にされるがままに、人生を翻弄されてたまるか。
 見てろ会社め。
 海外帰りの料理研究家、○先生となって、凱旋してやる。
 解雇寸前だったあの先輩が、と会社で私を追い越していった後輩の鼻を明かしてやる。
 私は自分の思いつきに鼻息が荒かった。
 だが。
 行きあたりばったりの思い付き、そんなものがうまくいくわけあらなんだ......。

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