英国への留学。
リストラ候補の私に見えた、一筋の光。
しかも、アラフォーにとってこれは、結婚に向けての最後のチャンスかもしれない。
会社と家との往復で、特に出会いもなく、コミュニケーションを取る場所もない。
だが、英国に留学し、多少なりとも時間に余裕ができれば、コミュニケーションを取る時間もできる。
アラフォーにもなって独身だと、世間や会社、後輩というものは何かある都度、「だからあの人結婚できないのよ」としゃくし定規に見下すものだ。
それが英国に留学できれば、英国の紳士との出会いがあるかもしれない。
英国の駐在員との出会いがあるかもしれない。
駐在員なんて、まあなんて素敵な響き。
日本の多くの男性は若い女性が好きという傾向があるので、アラフォーは射程圏外であることが多いという腹立たしい事実は抜きにして、料理学校に通う以外は自分の時間を自由に使える。こんなに毎日、デートに使える時間が人生で得られることなんてないかもしれない。
日本人男性はともかくとして、英国の紳士との結婚なんて、未だに独身と馬鹿にされているアラフォーにとって、人生一発大逆転である。
しかも最高の就職先だ。
結婚したからといってそれで人生は終わりではなく、離婚だって起こりうる、という事実はこの際目をつぶり、リストラ候補のアラフォーにとって、結婚できたら御の字だ。
それが英国の紳士となんて最高である。
本来、結婚は愛する人とするのが幸せなんて建前はこの際どうでもいい。
そしてヨーロッパの人間の方が、日本人より年齢に寛容そうだ。
そう、この無給生活は、英国の紳士との出会いのために用意された私の人生のステージ。
まあ、私ってなんてラッキーなのかしら。
無職無給になったのは、結婚できる準備のためだったのよ...!
夢は広がり、私は英国の城に住んでいる自分を想像しては、79000円のマンションに敷いた布団の中で、にんまり笑っていた。だが。
ビザが取れないとは思わなんだ......。




