『REFUSED』
という返事の来た宅急便を見ながら、辞書を引いた。
拒絶。
それでも人は信じられないものを見ると、嘘だと思うらしい。
パスポートを何度も確かめた。だが、どこにもビザのスタンプは押されていない。
なぜ? なぜ...!? 賞罰もなく、こじんまり暮らしていた真面目なアラフォーが、ビザを却下されなければならないの...!? 一体私の何が、法律に引っかかったの...!?
英国の紳士との出会い、素敵な結婚、コル○ンブルーでフランス料理、料理研究家として本の出版、テレビの取材。
それらの未来ががらがらと崩れ去る。
お先真っ暗くーらくら、私の目の前も頭も判断力もくーらくらである。
がんと頭をかち割られたようなショック。
手も身体も震え、水をコップに満足に注ぐこともできない。
全部で5、6枚程度の便箋が同封されており、何かが書かれているようだが、ちっともわからない。
震える指で、留学を励ましてくれた友人に電話した。
「ちょ、ちょっと相談があるの」
「そうなの? 私今から泊まりがけでミカン狩りに行くんだけど。九段下に待ち合わせ3時だからそろそろ行かないと。そうそう、ミカン狩りに一緒に行く友達の中に、アメリカに10年住んでた人がいるのよ」
1時間後。
なぜかみかん狩りに同行している私がいた......。
「ひゃっほー!」
この日のためにレンタカーを借りて、ミカン狩りに行く5人組。
テンション高く人生を楽しんでいる5人の中で、一人顔色をなくしているアラフォー。
ロンドンではなく、なぜか私の行先は伊豆。
人生を迷い、行き先も迷い、流されるままになぜか伊豆......。
英語ができるというその人が解読してくれたところによると、ここは強く言いたいが、私の非は全くないということ。学校側が用意した書類だけに問題があるとのことであった。
私は少し胸を撫で下ろす。
正確にビザが取れなかった理由を言うと。
学校が用意した書類に、ビザ取得要件を満たす内容が記載されておらず、だから申請を却下したとのことで、それらが記載された書類を学校に用意してもらえば、取れる可能性があるとのことであった。
なんだそんなの簡単なこと。もう一度やり直せばいいだけのこと。
学校にその旨連絡すればいい。
なあ~んだ。
地獄から天国である。
丸一日何も食べる気力もなかったのに、出された鮨をばくばく食べるアラフォー。
結局、友人の友人という、初対面の人、その日に会った人の家で風呂まで入って、挙句の果てに泊めてもらうというおまけつき。
タダで翻訳までさせて、ここまで図々しいと自分もあっぱれである。
だが。
ここからが地獄の始まりだったのだ......。




