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2009年12月アーカイブ


どさりと私の手から鞄が落ちた。

いくら留学エージェントのワカゾウが仕事ができないといっても、まさか...! まさか学校がないとは思わなんだ。

私が学費を払い込んだ学校はどこ? もしかしてこの留学は夢だったの?
だったら夢であったほうがいい。
私は泡を食ってガイドブックを読んだ。
ガイドブックに記載されていたワーキングホリデーセンターに駆け込んだ。

留学エージェントを通したちゃんとした留学のはずが、現地のワーキングホリデーを自力で探し、学校を探す羽目になったのである!

ちなみに完全な夢ではなかった。学校は数年前に移転していたとのことで、新しい住所を教えてくれた。

「なんですか? そのエージェント。もう数年も前に移転したのに」

そう言われ、私はとても惨めな気持ちになった。

エージェントには、なるべく学校から近く通える場所をお願いしておいた。
実際は。→通学に3時間かかることもあった。

このエッセイも書くことになっていたし、会社に報告もしなければならなかったため、インターネットは必須でお願いしていた。→ネットは使用できなかった。

ちなみにNZの一般的なインターネットはかなり接続速度が遅く、トップページを開くのにも10分以上。メール一通送るのに2時間かかったこともあった。

こういう負の部分は、エージェントは教えてはくれないのである。

このままではいけないと思った。まだこの時はその気力があった。
とりあえず、予備日が終われば学校に行ける。
学校に行けば何かが変わるかもしれない。

そう、人生は行動よ!

コーヒーの学校も信用のおけないエージェントのワカモノが紹介した学校だったが、時間がなく会社との兼ね合いもあって他に探せなかったので、そこしか行くところがない。

とりあえず、私はもらった住所を頼りに学校に行った。
2時間14000円のオリエンテーションは断ったから、バスの乗り方も、学校への行き方も、自分で探さなければならない。バス停も、乗り継ぎも、全部自分だ。

インターネットが繋がらない環境の中、自力でバス停に行って調べた。

色々なことがあったが、これだけ大変なこともあったのだから、いいこともいっぱいこれからあるだろう。
これ以上不幸が続くことなんてないと、自分の運を信じた。

やっと、やっと学校で出会いがあるかもしれない。

私はカモメに餌をやるのをやめ、すっくと立ち上がった。
ポジティブ満タン、これからが留学人生本番だ。

アラフォー、頑張る、と思って学校にわくわくしながら行った。
パンフレットで見た学校は、結構素敵だった。(プロの撮った写真というのは往々にして現実と違うものなのだが)

なのに。

行ってみたら学校が...! 学校がなかった...! のである。

学校が始まる前に1週間ほど環境に慣れるための予備日を作っていた。
私は早速、持参した問題集を開いた。
なけなしの金をはたいてきた以上、英語くらい身につけて帰らなければもったいない。時間を無駄に使うのは悔しい。

だが、殺風景な部屋に、お金目当ての人たちとともに粗末な食事を頂いているうちに、次第に負のオーラに影響されるようになっていた。

こういう時に自分の人生を見つめ直してはいけない。

なぜ、考えてもいなかったNZに来て、寒さに凍え、料理の勉強もできないのだろう。

バスの乗り方も分からない英語レベルのアラフォーは、唯一歩いていける海岸に毎日のように足を運んでいた。

毎日、冬のグレーの海を見つめながら、私はいつのまにか、パン屑をカモメに与えていた......。

ベンチのとなりにはお年を召された男性がぶつぶつ独り言を言いながら、一日中座って座って同じことをしていた。

これから人生をやり直そうとしていたアラフォーが、毎日、何もせずにカモメにパン屑を与える生活......。

コル●ンで包丁を握り、輝かしい未来を抱いていたはずだったのだが、廃人同様の隠遁生活。

独身男性どころか、人も歩いていない場所で、大自然だけが話し相手であった。
男性...いや、人とすら話す相手がいなかった...。

オークランド空港に着いた途端、ものすごい寒さが私を襲った。
空港にはマックがあるくらいで、閑散としていた。
独身らしい男性の姿は見当たらなかった。

そう、ここは南半球。
日本人がよくしている誤解。オーストラリアに近いかもなんてのはまったくの誤解で、南極のほうが近いかもしれない(それも大げさだが)。

真夏から真冬に。

夏が大好きな私は凍えながら再びブルーになった。
こんなに寒いとは思わなかったのだ。

しかも何と夏は雨期。連日の大雨続き。

そして何と、こちらの方は野性的というか、日本人が甘やかされ過ぎているのかもしれないが、ヒーターが...! ヒーターがないのである!

外気温5度で、窓は全開。

外人さんは体温が高いから2月でもTシャツを着てたりする人を日本でも見かける。
変な人だなあと思っても、そういう人たちがいる場所に、日本人のアラフォーが一人混ざっても、ついていけない。

留学エージェントが何としても生徒を送り込みたかったのも分かる。
人気のないこの時期に少しでも外貨を稼ぎたい学校の気持ちも分かる。
何も知らない学生さんはいいカモだ。

ちなみに、今回の滞在形態は留学エージェントに誘導されホームステイを選んでしまったのだが、人はいい人たちだったが、ヒーターがなかった。
NZに住んでいる留学生たちは日本人以外も全員、寒い寒いと言っていた。

これも私が知らなかったのだが、日本人というと、ホームステイは善意で受け入れてくれる家庭が主だと期待してしまう。
だが、エージェントはこういうことは教えてくれないものなのだが、ホームステイを受け入れる家庭の中には、学生を受け入れて少しでも生活費の足しにしたいというちょっと生活に困窮している家庭も含まれている。
こんな家庭に送り込まれて、満足な生活ができるわけがない。とにかく、家庭はお金目当てだ。
少しでも経費を節約しなければならない。

となるとどうなるか。

ヒーターはつけられず、シャワーも5分というお達しがあった。

壊れたベッド以外何もない殺風景な部屋が、私の再出発の場所になった。

疲れていたが、スプリングが壊れたベッドは腰の部分が、くの字に曲がるように沈み込み、寝るたびに腰がものすごく痛くなった。

それでも、行き先は決まった。
友人たちは盛大に決起パーティーもしてくれた。

「ニュージーランド、いいとこらしいよ。自然もあるしさ。自然もいっぱいあるしさ。自然すごいらしいし」
「そ、そうだよ。バンジージャンプしてきなよー。スポーツは盛んでさー、バンジージャンプが。他のスポーツは、えーと、女性ならそうそう、バンジージャンプ」

バンジージャンプはバンジージャンプで人生変わるかもしれないが、料理研究家のはずがなぜ、バンジージャンプ......。
英国の紳士と婚活のはずがなぜ、バンジージャンプ......。

「とにかく、人生は行動よ! きっと何かいいことあるって。ポジティブに考えなよ!」
空港まで見送りに来てくれた友達たちにお別れを告げながら、私も無理やりポジティブに考えた。

オーストラリアの近くらしいし、そんなに寒くもないだろう。
ガイドブックを見れば、水族館や動物園も近くにあるみたいだし、環境は良さそうだ。
海も近いらしいし、ヨットやサーフィン、ダイビングなんかもできるかもしれない。

それが日本人が抱きがちなものすごい誤解だと気付いたのは着いてからである。

今まで皆様、どのようなクリスマスをお過ごしでしょうか。

クリスマスイブに家で一人でいることを知られたくなくて、カーテンを閉め、音も立てずに気配をひそめ、じっと家に籠っていたことを思い出します。

一人でショートケーキ一つを買って帰るイブ。
280円のいつものケーキが飾りが違うだけで350円だったりして切なくなったり。

会社があれば仕事をしているから気が紛れるのにと思いつつ、仕事のないイブに友人達もつかまらず、せめて豪華なディナーをと思い、駅ビルに出向いたものの、一人で食べるラーメンに、却って侘びしくなったりと。

まあろくな思い出はないですね。

一人で過ごすアラフォーの皆様、どうぞご安心を!
皆様よりもっと惨めなクリスマスを過ごしている人間がここにいます。
皆様に勇気を与えるアラフォーの星をどうぞよろしく。

さて、留学記もさくさく進めてしまいましょう。

ビザは取れなかったものの、コル●ン自体も、諦めたわけではなかった。
あれだけ事務の方とのやり取りでつらい思いをさせられたものの、婚活をメインに考えた時、人口が多い場所のほうが出会いのチャンスも多い。
そしてロンドンならば、優秀な人も集まっていそうだ。

留学エージェントのワカモノはその間も色々進めていた。

彼はどうしてもNZの学校に義理やらマージンやら、何やらあって、一人でも多くの生徒を留学させたかったに違いない。

私は慌ててせめてビザなしで行けるコル●ンの半年のコースにできないかと頼んだ。
日本人は半年までならビザなしで滞在できるのだ。

だが、さっさとコル●ンはキャンセル、返金の手続きが取られていた。

ポンドは私が学費を払った時が一番安く、さらにもう一度申し込むとなると、ポンドが反発して一番高い時期になっていた。
しかも、学費は私が申し込んだ時期よりもさらに値上がっていたのである!

上級コースまで申し込むと、割引率が高く安くなる。
だが、単発コースだけで申し込むと、割引等の処置は得られない。

ここは三か月一コースなので、半年ならば中級までいける。

私は留学エージェントに中級まで申し込むように頼んだ。
エージェントは「分かりました。残数が少ないので早くしなきゃだめですね」と言っていた。そう言われたら私はてっきり申し込んでいると思った。

しかし数日後。

「由里さんすみませーん。今日申し込んだらいっぱいになってましたー」

くらりと私を眩暈が襲った。

もしかしたら申込し忘れていたのか、それは分からない。

結局、半年もいて、初級しか受講できないことになった。
しかも値上がりした学費を払わされ、人生再起をかけたというのに、ロンドンくんだりまで行って、初級しか受講できない。全部のコースを申し込めば割引率も高いのに、単発コースずつ申し込むとものすごーく高くなるのだ。
初級コースだけなのに、全部のコースの半額の値段である。

上級まで受けて資格なんぞもらえたら、ある程度、人生再起できたかもしれない。
だが、初級だけでは生徒さんには評価してもらえないかもしれない。

ちなみに、その後、そのエージェントに払う費用も。

海外送金手数料やら、レート的にもお高い金額で、また、ニュージーランドの学校もテキストやらオリエンテーション費用やら、聞いてなかった費用がばんばん上積みされていく。

特にオリエンテーションとやらは着いたら2時間、周辺環境について説明する時間とのことだったが、2時間バスの乗り方♪ とやらの説明を聞くだけで1万4000円もかかる。
留学エージェントというのは、そういう説明も入っているものだと思ったが、このエージェントは「学校のHPの申し込みボタンをぽちっと押すだけ♪ 海外に学費を送金するだけ♪」というお仕事しかどうやらお高い手数料には含まれていないようなのである。

こんなことなら私がさっさとHPのボタンを押して、席を押さえておけばよかった。

だがもう後の祭りである。

パニックを起こしている時というものは、判断能力が鈍っているものだ。
もしかしたらプチ鬱だったのかもしれない。
そういう時に、再三、本は「重大な決断をしてはいけませんよ♪」と書いてある。
だが、実際そういう立場になってみると、本人は。

結構気づいてないんですよこれが...。

で。ロンドンからニュージーランドに変更したことに、周囲の皆はびっくりしていたものの、とりあえず、ここ数週間の私の激動ぶり、寝不足ぶりを不憫に思っていた友人たちは一様に落ち着き先が決まったことに安堵してくれた。

だが日に日に、留学が近づくほどに、私はブルーになっていった。

ガイドブックを買ったものの。
「トレッキングをしよう!」「大自然と遊ぼう!」「老後に最適!」「環境最高!」「シルバー人生を優雅に送りたいあなたへ」

人生再起をかけての留学。
料理研究家としての勉強、やる気満々の留学を野心すら抱いていた人間とは対照的に、「余生を送りたいならニュージーランド」という記事ばかり目につく。
しかも「特筆すべき料理はない」なんてことも書いてある。(私が見たガイドブックは)

ブルーになっている私に、友人は一言。
「あんたの目的の一つに、料理だけじゃなくて婚活も含まれてるんじゃなかったっけ? ニュージーランドだったら羊と出会う方が多いかもよ~」(すみません、勝手なイメージです)

既に会社に学校が決まった旨も報告した。だが、どことなく、そのセールスマン、もとい留学エージェントがあやしい気はしていて、なんとなく、本当にこれは私にとっていい留学だったのかと警鐘が鳴っていた。

なんせ、料理学校自体の学費もだが、それに付随する姉妹校も紹介されてそこも行くことになっていたのだが、その学校の学費は一日3万円。
一週間で21万円。
一か月で84万円である。

どう考えてもおかしい。高過ぎる。
着物や消火器や、ハンコやらの訪問販売に、うっかり引っかかってしまう人の気持ちが、馬鹿にしていたが今ならばよーく分かる。

私は勇気を振り絞って、エージェントにお断りの電話を入れた。
彼はちょっと立腹していた。いいカモからたっぷりマージンを引き出せると思っていたに違いな...あわわ。

だが会社に報告した手前、留学するのをやめたとは言えない。
急いで他の学校を探した。無給になる日はもう刻々と近づいている。
期間が折り合わず、見つかったのは「コーヒーの淹れ方」という学校であった。

料理研究家がなぜか、コーヒーの淹れ方という包丁一本持たない学校のために、興味もまったくない勉強のために、大枚はたいて出かけることになったのである。

しかも、コーヒーでは余った材料を持ち帰れず、腹の足しにもならない。
留学費用も節約できない。

コーヒーは好きですが。


七転八倒の苦しみの中、そのワカモノは言った。

「由里さん、お料理留学ならニュージーランドはどうですか? いい学校があるんですよ~」

ニュージーランド?

考えてもいなかった選択肢だ。
行ったこともなかった国だ。どんな学校かも分からない。
私は拒絶した。
だが彼は何度もしつこいくらいそこを勧めた。

ビザを拒否され、犯罪者扱いされ、留学もできず、再起をかけた人生計画がまるきり狂ってしまい、私はどうやらパニックを起こしていたらしい。
その状況にいる間は、人は気づいていないものだ。

何とか人生を変えたかった。そして、決断まで時間がなかった。会社はさっさとアラフォー社員を無職休業に入らせたかったから、もう一度学校選択から一からやり直し、なんて時間がないという制限があった。

そういう時に、セールスマンの勧誘は、甘美な囁きになるものだ。

人は弱っている時に付け込まれるもの。

私は彼の提示するまま、その学校がいいもののような錯覚を起こし、ついうっかり頷いていた。

英国の紳士との出会いが、→ニュージーランドで羊飼いと出会う旅(すみません、勝手なイメージです)になってしまった瞬間であった。

お笑い芸人、もとい、アラフォーエッセイストに戻らせてもらおう。

一筋の光明。
天井から下りてきた一本の蜘蛛の糸。

藁にもすがる気持ちで、そのエージェントを訪れた。

第一印象が良さそうな若者だった。
だが何となく、仕事はできなさそーな新人君のような印象はあった。
そしてあまり社会人経験がなさそーで、自分が一番大切で、自分の非を認めず頑固そーな。
ま、とにかくいまどきの若者であった。(こういう言葉が出て来てしまうところが、もうアラフォーなのだなと自分で自分の首を絞めていることにも気づく)

「イギリスのビザですか? じゃ、再申請しましょ♪」

軽いノリにちょっと怪しい気配を感じたが、もうここしか受けてくれるところがないのだから仕方がない。

この若造に一生をかける自分の人生が哀れに思ったが、こっちも必死だ。だが、コル●ンは頑として違うビザレターを用意しない。
彼に交渉してもらったが、彼はコル●ンの事務の人のいいなりで、まったく同じビザレターが再度送付されてきても「これでいきましょ、色々僕も書類に書き込んでおきますから」なんて言っている。分かってないなあ、イギリスのビザ取得難度の恐ろしさを。

そして結果はもちろん。

係官「だーかーらー。ヨーロピアンフレームワークのレベルを前の人が書けってるのに、何で書いてこないの? ビザレターはね、学校のレベルとかー、そういうものをちゃんと記載したものがね、ビザレターというのよ。このビザレターは欠落事項が多過ぎるんだってばさ」

そう、「REFUSED」

ビザの申請にはものすごーくお金がかかるのである。

血にも肉にもならないものに、既に私の一月分の家賃くらい吹っ飛んだ。
結婚相談所に軽く払えるお金が...! 吉野家の牛丼(松屋でもいい)が何杯食べられるんだろうというお金が...! 

ああ...。

留学エージェントはその道のプロだ。
きっとビザも取れるに違いないし、学校側に、ビザレターの訂正、変更も交渉してくれるに違いない。高いお金も払ったし。

そんなふうに期待するのも無理はないと思う。

これでビザも取れてばんばんざい、となれば、このエッセイもここで終わりだ。
だが。

ここからが真の地獄の始まりだったのだ......。

ええ、よく聞くでしょう? 詐欺とか倒産とか。あとでごゆっくり説明しましょう。

いや、本当に、今、あなたが7万円程度の家賃でも、ちゃんと水も出て電気も使えて、ご飯も食べられて、犯罪者扱いもされてなくて、貯め込んだコガネも多少はあるようなら、真に幸せだ、と思って欲しい。

そうか、それに気づくための留学だったのか...。もとい。

「イギリスに留学してまいりましたの。毎日アフタヌーンティで楽しゅうございましたわ」なんてエッセイを読んでも、楽しいとは思わないだろう。

だが、これでもかと訪れる大変なネタがあれば、エッセイストとしては美味しい。

お笑い芸人だって、自分がフラれた話や、貧乏話だって、ネタにして這い上がっている。
お笑い芸人ではないが、自分がお笑い芸人であるような気がしてきた。

コル●ン帰りの料理研究家、セレブな由里先生。

お笑い芸人の由里先生にへんこ~う。


海外の人を相手にすると、信じられないことが起こるものだ。

一生のかかった留学、留学前に留学すらできない状況。

時差のあるやり取りに、毎晩寝不足ふーらふらである。

事務の方がおっしゃる完璧なビザレターとやらは、実は、年月が間違っていたりもしたのだが。
実際は違うが、読んでくださっている方に分かりやすく極端な例を作って言うと、2009年なのに、1980年と書いてあるような感じのミスがあった。

イギリスはビザ取得が大変な国で、そんなミスがあったらまず通らない。
だが私もさすがに細かい部分は見ていなかったので、気づかなかったのだ。

慌てて、これは留学エージェントを通したほうがいいと思い直し、各社に電話で問い合わせたものの、ビザレターを拒否されたことを言えば、どのエージェントも、一様に私を、「犯罪者扱い」である。

気持ちは分かるが、面倒なことに関わり合いたくない態度を取られ、誰の助けも得られない。

会社に報告すれば、会社からも犯罪者扱いをされ、さらに居づらくされてしまう。

ハウツー本や、ノウハウ本には必ず「人生は行動です。まず行動しなければ始まりません」と書いてある。私もそう思っていた。だがなぜ、行動したことでこんなにつらい目に遭わなければならないのだろう。いやもうまったく。

弁当を作り、水筒を持参し、満員電車に揺られて真面目につつましく生きてきた善良なアラフォーが、さらに犯罪者扱いにまで堕ちるとは思わなんだ。

針の筵の中、一社、「とりあえず来てみてください」と言ってくれた留学エージェントがあった。

私にとっては唯一の希望の光に見えた。

だが......。

もっと酷い目に遭わされるとは思わなんだ......。

パソコンにお強いアラフォーの方もいらっしゃいますが、パソコンに弱いアラフォーの皆様へご連絡です。(ちなみに私もとてもとてもパソコンに弱いです)

第1話からは
私のブログのタイトル(今回の例でいいますと、パソコンに弱いアラフォーの皆様へ、の部分になるでしょうか)をクリックして頂くと、探すとアーカイブ、というものが出てきます(頑張ってアーカイブを探してみてください)。
アーカイブに月別アーカイブ、というのがありまして、11月をクリックすると、第1話からがご覧になれます。

ところどころ、一番最初の書き出しが消えているような日もありましたので、先ほどすべて修正しておきました。

改めて、どうぞご覧くださいませ。

ちなみに私もグランディプロマというのがなんであるか、申し込みをするまで知らなかった(笑)

グランディプロマとやらは、料理とお菓子の両方の、上級修了者に与えられるこの学校の資格のことだ。フランス語ができないのと知識がないのでこんなことしか言えないが、この学校くらいで使われている資格名称ではないだろうか。

さて。
一度犯罪者というレッテルを貼られてしまうと、その誤解を解くのは至難の業だ。

実はこのビザレター、担当者が入学の手続きの際にうっかり私の分を忘れていて、直前になって私が問い合わせて、やっと届いたような事務作業の仕方であった。

個人レベルではいい人はいっぱいいるし、どうか批判等と取られないでほしいのだが(口調や文体からも、そういうのが目的のエッセイではないのは理解頂けると思う)事務の方にとって、ビザが取れないのは、申請者に問題があると思い込んでしまったようなのだ。

係官の手紙もファックスし、訴え、新しいビザレターを用意してくれるようにお願いもした。
だが。

「他の国籍の方はこのビザレターでビザが取れてますし、このビザレター以外のビザレターは発行できません」

いや、ビザレター要件は、国籍によって違うんだけど。他の国籍の人が取れても、日本人は一人も取れてないんだけど。

アラフォー女の留学記、留学前にしゅうりょ~う。

もとい。

私は泣きながら、高い国際電話を何度もかけた。
しかも時差があるので、一日中働いた後、翌朝早朝から仕事なのに、夜中の2時まで起きてのやり取りである。

アラフォーも必死だ。
留学できないなんてことになったら会社に「辞めれば?」なんて理由を与えてしまう。

留学できない上、会社も辞めることになったら、人生再起をかけた私の人生なんだったんだろう。

あのみかん狩りの日に食べた寿司が、最後の寿司になるかもしれない。
もう寿司を食べるなんて贅沢はできないかもしれない。

夕飯に狩ってきたみかんを食べながら、必死に事務の方からの電話を待った。

後から連絡してくださると約束くださったのだ。夜中の三時まで待っても連絡がなく、ないお金を振り絞って国際電話をかけた。
留学前から貯金は留学もしていないのに、どんどん減っていく。眠い目をこすりながら、電話で何を言ってるか分からない相手に必死で訴えた。
すると。

「え? ビザレター担当者? 5時の就業時間になったらさっさと帰ったわよ♪」

チーン♪

係官からのお手紙には、ちゃんと丁寧親切に説明書きがされていた。

「ビザレターに書いてあるグランディプロマって何?
よくわかんないんだけど。どういう資格なの? 
これって語学学校じゃないし、大学じゃないし、どういう学校? 
ヨーロピアンフレームワークっていうののレベルとか、
あなたの英語のレベルとか書いてないと、
ビザが取れるようなちゃんとした学校か分かんないんだけど、
新しいビザレター用意してよ」

係官は料理をしない男性なのだろう。
日本人だってコル●ン・ブルーは、料理業界では名が通っているが、
まったく料理に興味がない人間がこういう反応するのはよく分かる。

今年は毎月のようにビザレターの資格取得要件が変わったりしていた。
ヨーロピアンフレームワークのレベル記載というのも今年から、日本人に対し加わった条件だ。

理由が分かればもう安心。
寿司をぱくつきながら、みかん狩りも楽しみ、帰りにアジの干物まで買って帰る極楽ぶりである。

自宅に戻り早速私は、コル●ン・ブルーに連絡をした。
だがなんと...!

「うちのビザレターは完璧です。
取れなかったのはあなたに問題があるんじゃないですか?」

善良なアラフォーが、人生で初めて。

犯罪者になった瞬間であった。






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