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TITLE : あっぱれ80代! アラフォー28

例のエージェントでは、学校が変わるごとにホームステイ先は変わらされ、そのたびに、手数料は毎回別々に請求され、法外な手数料をふんだくられたオチがついているのだが、語学学校では84歳のおばあちゃんの家にお世話になった。

まあ、映画のようなシチュエーション。
ミス・マープルみたいな方だったら素敵かも。
なんて相変わらずプラス思考で能天気にその家に向かう私であったが。

私の部屋は部屋ではなく、なんと倉庫だった。倉庫の隅を改造した倉庫。窓は小さく薄暗く、布団は薄く、ヒーターは温かくならなかった。

トイレは二階にあるおばあちゃんの寝室の横で、夜中に起こしても悪いと変な所で遠慮して、いつもトイレに行きたいなー行きたいなーと我慢する日々であった。

悪いことばかり探していると、人生全体が悪くなるとの賢人のお言葉通り、その生活の中でもいい部分を探してみると。
...よかったことは、膀胱炎が大きくなったことだろうか。

このおばあちゃん、湿気が嫌いで、私がシャワーを浴びた後も、髪をがしっと掴んで「まだ湿ってるわ。パサパサになるまで乾かしなさい!」とお命じになる。

部屋にいて勉強しても、5分に一回は呼び出され、キッチンは水を出したら、シンクの中も拭いておけ等、ご注意なさる。

無駄遣いをするつもりもなく、どちらかというと社会人経験のある普通の女性として、お金をセーブする暮らしに協力していたつもりなのだが、することなすこと、監視され注意されては気もまいる。

その方のご姉妹はその方も含め独身ぞろいでいらした。

私もこのまま独身だったらこうして下宿屋を営み、年金にプラスしてつつましい生活をする老婆になるんだろうな...と自分の将来がちらりとかすめた。
だがそれも、ちゃんと持ち家があってこそである。

おばあちゃんと二人暮らしをしているうちに、ずっと一人暮らしを続け口やかましく細かくなった女性の将来が自分に重なり、人生再生の気力どころか、アラフォーはさらにブルーになった。

ちなみに。

このおばあちゃん、驚くほど、がめつかった。

おばあちゃん「一緒に夕飯食べに行きましょう」
私「は、はい」

一緒にご飯を食べに行くと、必ず。

支払いをする際に、トイレに行くのである。
トイレから出てくるのを待つ、というができない状況で。
(例:レジの前で、背後に行列が出来ている段階で......ああ)

トイレから帰ってくると、何事もなかったかのように。

おばあちゃん「じゃ、帰りましょ」

ご馳走様の一言もなく、あっぱれ見事! と喝采である。

その他にも。

おばあちゃん「あなたのために作ったご飯でボウルが壊れたわ...」
私「そ、そうなんですか」
おばあちゃん「新しいボウルが欲しいわねえ」
私「そ、そうですね」
おばあちゃん「そうそう、この時計も、このキッチングッズも、前の留学生のプレゼントだったわ」
私「......」

ここまでプッシュされたら、善良な日本人のアラフォーはボウルを買わずに家に帰れる勇気がありませんでした......。

こんなふうにずぶとく生きられればいいのに、と思いつつ、まだまだアラフォーは80代には敵わない。

いつかこんなおばあちゃんになれる日を夢見て...! 
(いや、もう少し、可愛げのある老婆になろう......)

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