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TITLE : 宿なしの日々 アラフォー31

新しい家というのは、割りとNZの家は建てつけがおおざっぱというか、古めかしいというかカントリースタイルというか、広いけれど使い勝手が不親切なところはあった。

初日、私の部屋の窓は真冬なのに閉まらなかった。
さすがにそれは、彼女がいくら迫力があって怖くても、気が弱い日本人女性である私も訴えた。
ホストマザーもタオルを突っ込む等の処置をしてくれたのだが、それでは根本的な解決にはならない。(ほどに開いていた)

大雨が降り、雷が鳴り、うるさいやら風が吹き込むやらで、朝、私は酷い風邪を引いてしまった。

ホストマザーというのは、不動産会社を辞めていた。なのでお金が必要だったらしい。
毎朝、昼近くまで朝寝をし、夜は男友達やらと飲みに出かけてしまうので、コミュニケーションが取れない。

なので、ものすごーく丁寧に、置き手紙を残した。
これはものすごく自信があるのだが、本当に無礼なことがないように、チェックもした。

「窓をなんとか閉められないかしら...やっぱり夜通し開いていると寒いですし、昨日は大雨で雨も吹き込んできましたし、雷の音もうるさくて。もしよろしかったら、閉めていただければ嬉しいです」とかなんとか。

だが学校に行って驚いた。

例の宿泊担当者が鬼のような顔をして。

「由里が200ドルもかかる窓の修理を強要しているとホストマザーがクレームをつけてきた。由里はフレッシュエアーを喜ぶべきだ! なのに、なぜ窓をしめさせようとするのか!」と私を呼び付けて、カフェテリアで怒鳴り付けたのである!

「今日はもう帰って来て欲しくないと言っているから、今日はもう帰るな」そう言ったまま、私が「な、何の誤解!?」と言っても取りつく島もない。

担当者「雷がうるさいだって? 一体あんたいくつよ!」
私「え?」
担当者「いくつ!?」(へへん? と馬鹿にした表情で)
私「は?」
担当者「いくつ!?」(赤ちゃんねー、雷が怖いの? みたいな心底馬鹿にした表情で)
何の話も聞かないまま、嵐のように彼女はその場を立ち去って行った。

カフェテリアにいた人たちはあっけにとられた後、すぐに私の周囲に集まってきてくれた。
嬉しかったのは、皆が、「今の彼女の態度はおかしい。フェアじゃないし、無礼過ぎるし、言っていることも間違っている」と慰めてくれたことだ。
そして「客観的に見ていた私たちが味方よ。校長先生に、私たちが見たことをありのままに言ってあげる。あなただけで行くより、説得力があると思うから」と言って、校長のところについてきてくれたのである!


ちなみに、さすがに寝る場所がなくなるトラブルに遭遇したため、役に立たない留学エージェントだったが、私はそっちにも仕方なく連絡をした。
経験上、そのワカゾウを通すと、余計に迷惑をかけられることになるので、関わり合いたくなかったのだが、宿泊担当者は不親切だし、ホストマザーは帰ってくるなと言っているのなら、今晩泊まるところがない。

慣れない異国で宿なしになるのはきつい。

校長代行が宿泊担当者をなだめたのか、彼女は暫くしてから「窓が直ったから家に帰ってもよい」というメモを、先生を通して私に渡してきた。

とりあえず、今晩寝る場所があるということにほっとした。

そう、みなさん。

家があって、寝る場所があるという、当たり前だと思っていることが、どれほどありがたいことか、身にしみますねえ...。

アラフォー、婚活どころの騒ぎではなく、家なしになるか否かの瀬戸際の人生を、海外で歩む羽目になったのである。


ちなみに、ワカゾウからは「その女性は、身内に不幸があったそうです。なので、おかしくなっていたのかもしれません。そういう感情をあらわにする女性は海外には多くいるものです。グローバルな視野を身に付ける国際人になるために、頑張ってください」

という、役に立たない、どこのマニュアルを写し取ったんだか分からない返事がきた。

いやあの。

私の留学の目的は料理留学であって、グローバルな国際人とかなんとか、20代の大学生さんに送る言葉を向けられても、ほんとーに見当違いなのだが。

まあいい。
とりあえず、雨風がしのげる場所で寝られれば、別に結婚できなくても、老人ホームに入れなくても、お金が本当になくても、いい。

私の人生の優先順位は、グローバルな国際人になることでもなんでもなく、「その日、雨風がしのげる場所で寝られる生活を送ること」

善良なアラフォーが...英国の紳士と結婚、コ●ドン帰りのセレブな由里さん、なんて壮大な夢を抱いていたアラフォーが...!

今や「星空が私の屋根なの」、という生活を送る羽目になったのである。

頑張れ由里さん。

そして、頑張れ会社でパワハラやらにあってるアラフォーの皆様。
屋根のある場所で寝られる人生を送っている皆様、私より幸せですよ~。とほほ...。

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