家に帰るとホストマザーは、どこまで演技なんだか分からないが「あなたの手紙は失礼ではなかったわ。ただ、窓は直らないし、修理はお金がかかるしどうしたらいいか、学校の宿泊担当者に相談しただけなんだけど」
と、困惑したように私に言った。
こういう時、日本女性の良さというか、アサーティブに振る舞えない和をもって貴しとなす気概をサラリーマン生活で植えつけられた可哀想な性質もあって、私はまず、「一緒に住んでいる人とどうやって仲良くするか」と考える。
自分の主張をするより、どうしても、家を間借りさせてもらってるほうが、立場的に弱い。日中学校に行くため外出しているのだから、いない間に、物を壊されたり、意地悪されたりするほうが恐ろしい。
力づくで直したという窓は、修理業者を呼ばずとも閉まっていたため、私も「そうですよね。宿泊担当者は意地悪な人で評判だから、ちょっと私を脅かしたのかもね」なんてへらへら笑って(一番悪い日本人の性質)、友好的に振舞ったため、ホストマザーとの窓事件はそれで収まった。
もしかしたら、宿泊担当者と仲違いさせるようにして、私がこれ以上文句を言えないように仕向けたのか、それは分からない。
ただ、恐ろしく悪知恵の働く女だったことは確かだ。
ただ彼女の行動は、ここからエスカレートしていくのである...。
