今回描いた作品は、着物の絵柄に注目して下さい。
着物の袖に大きな鯉を描いたのが特徴なのですが、
とても好みなので私のHPにも掲載している作品があります。
ただ実際のところ、浮世絵にてこのような柄の着物を着ている女性を
見かけたことはありませんでした。
しかしつい先日、奥村政信「結文」(太田記念美術館開館所蔵)にてそれを
確認することができました。
奥村政信(1686~1764)は、菱川師宣や鳥居清信の画風を学び、さらに独自の
画風を築いた浮世絵師です。
代表作の一つに「芝居狂言舞台顔見世大浮世絵」は、西洋の遠近法を応用して
歌舞伎小屋の内部を描いたものがあります。
他にも、芝居舞台と観客と観客席、そして小屋前の通りなどを臨場感たっぷりに描いた
肉筆画による「中村勘三郎座芝居図」も知られています。
「結文」にある鯉の柄で誂えた着物の女性は、彼にとって特別な女性だった
のではないだろうか、とつい考えてしまいました。
【参考引用文献】
「浮世絵の歴史」1998小林忠(監修)美術出版社
※早稲田大学坪内博士記念演劇博物館・歌舞伎浮世絵画廊所蔵の
歌川豊国「五節句の内 菊月」の女性の着物にも鯉の柄がありました。


