江戸の街並みを描く場合、歌川広重の「名所江戸百景」、斎藤長秋・莞斎・月岑の
「江戸名所図会」、詳細な場面には、菊川英山の「英山呉服店の図」
などを参考にしたことがあります。
もう少し、当時の賑やかな日常の風景が一目で伝わってくる街並みはないものか、
と探していたところ、多様な人々が描かれており、売買をめぐる描写の非常に
豊富なことが注目されている絵巻があることを知りました。
この絵巻の名を、煕代勝覧(きだいしょうらん)といいます。
描かれている場所は、神田の今川橋(現・東京都千代田区鍛冶町一丁目付近)を起点に、
日本橋通りを約七町(760メートル)ほど南下し日本橋へと至る、通町と呼ばれる
江戸で最も主要な街路と、これに面する街並みです。
十九世紀初頭における江戸日本橋近くの通町筋を12メートルにも及ぶ連続画面として
描かれています。
私はまだ実物を見たことがありません。
煕代勝覧はベルリン東洋美術館所蔵のものですが、一度本物を見てみたいです。
【参考引用文献】
大江戸日本橋絵巻-「煕代勝覧」の世界-、2003、浅野秀剛編 吉田伸之編 浅野秀剛〔ほか〕、講談社
江戸名所図会を読む、2001、川田壽、東京堂出版
