都風俗化粧伝※1を読んでいた所、面白い項目を見つけました。
「背の低きを高く見する伝」
背すじを直ぐに立て、肩を両方ひとしうそろえ、首を立ちのびるがごとくに押し上げ、
身を少しそる心もちに腰をのすれば、すらりと格好よく、高く見ゆる也。その上、
下駄、草履のたぐいも、少し通例より高くして履くべし。髪も、わげを高く結うがよし。
衣類の仕立ようは、少し身巾のせまきかたに仕立てて、もようは、立ちのびたる草花の類
を付くべし。嶋(縞)ならば、立嶋か、立すじの勝ちたる嶋よし。横の勝ちたる嶋もよう
も、横にひらたき模様は悪しし。帯は少し細く仕立てて、結びようは、手先をあまり長く
出さず、上の方にて高く結べば、およそは持ちあいにて人並みの高さに見ゆるもの也。
ちなみに「背の高きを低く人並みに見する伝」もありました。
人からの視線を気にする姿勢はこの時代からあったのですね。
※1:江戸時代の女性の美しくなるための手引書。化粧や心構え、身体の手入れ、
健康管理に至るまで実に幅広い内容が掲載されている。
【参考引用文献】
都風俗化粧伝、1982、佐山半七丸(校注・高橋雅夫)、平凡社
(文化十年(1813)初版『女子愛敬 都風俗化粧伝』を、常用漢字、現代仮名使いに書き改め、注を施したものである)


